ラムサール条約の正式名称は「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」です。
1971年にイランのラムサールという町で採択されたので、ラムサール(the Ramsar Convention)条約と呼ばれています。名前に《特に水鳥の生息地》という言葉があるために、水鳥の保護条約だと勘違いされることも多いのですが、水鳥だけでなく、湿地の働きそのものの保全条約であり、湿地に依存している特有の動植物の保護も対象となっています。水鳥を守ることは、その環境を守ることであり、同時に魚やカニなど湿地に生息する生物や、海藻や湿地植物なども守りことにつながります。つまり命のつながり(生態系)を守るということです。
また、湿地が人々の暮らしにとって様々な価値(水産、農業、文化、科学、レクリエーションなど)をもたらしてくれていることから、この何ものにも代えがたい資源を未来に持続させることの必要性も求めています。昔から受け継がれている漁業の方法や、農業、狩猟の方法など、湿地とともに成り立っている(持続可能性、賢明な利用)システムと人の暮らしも守りましょうということです。
ラムサール条約という法律はありません。締約国はそれぞれの国の一番近い法律で湿地を守ることになります。日本では「鳥獣保護法」や「自然公園法」です。だからラムサール登録湿地になるためには、まず国指定鳥獣保護特別保護区にしたり、国定公園などにする必要があります。

湿地(Wetland)って何?
条約には「湿地とは、天然のものであるか、人工のものであるか、永続的なものであるか一時的なものであるかを問わず、さらには水が滞っているか流れているか、淡水であるか汽水であるか鹹水(塩水)であるかを問わず、沼沢地、湿原、泥炭地または水域をいい、低潮時における水深が6メートルを超えない水域を含む」とあります。
身近な場所では、川、河川敷、湖、ため池、湿原、水田、そして干潟などがあります。こうして考えると、“湿地”と私たちの暮らしがつながっていることがわかります。
日本の大都市、東京や名古屋、大阪、福岡など、みんな大きな湿地(干潟)があるところに人が集まり、文化が生まれ、都市が育っていったのです。でも湿地は都市の発展とともに埋立てや開発のためにつぎつぎに消えていきました。日本では戦後だけで約50%の干潟や湿地が失われました。もうこれ以上失ってはいけないのです。




湿地再生
ラムサール条約は、湿地を保全することだけでなく、失われた湿地を再生・復元させることも指摘しています。つまり世界中が湿地(干潟など)は、海と山、川、森、そして人の暮らしを「水で結ぶ」重要な役割を果たしていることを知り、その大切さに気がついたのです。

登録湿地
世界で約150カ国、1500以上の湿地が登録されています。日本では33カ所(2006年3月現在)。博多湾の和白干潟も候補地になっていますが、福岡市と地元のみなさんと環境省の意見がまとまらないためにまだ登録はできていません。
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賢明な利用(Wise use)

人間は古くから、湿地とそこに生息するたくさんの生物の恵みを受けてきました。魚を捕ったり、貝を拾ったり、水田で米を作ったり、みんな湿地の恵みです。湿地そのもの(元本)は大切にしながら、その恵み(利子)だけを利用して次の世代に受け継いできたのです。これが持続可能な賢明な利用です。湿地を守ることは人間を守ることにつながります。

ラムサール条約のこころ
私たちは、和白干潟がラムサール登録湿地になればうれしいです。国も世界も一緒に守ってくれるのは心強いからです。でも本当に大切なのは、地域のみんなが和白干潟の大切さを知り、次の世代へ手渡すためにどんなふうに守っていけばいいのか一緒に考え、行動することです。ラムサール条約はそう教えています。


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