<第4回>
2005年10月16日(日) 8:30〜10:00 和白干潟海域
集合場所:雁ノ巣桟橋

「博多湾のアオサと回収作業」
講師:川口繁保さん(博多湾環境整備株式会社)



雁ノ巣の桟橋で川口さんが出迎えてくださいました。お借りしたライフジャケットを着用し、小型船で牧の鼻沖に停留して作業をしていたアオサ回収船まで移動しました。

■世界で唯一のアオサ回収船
アオサ回収船に乗り移り、回収作業を間近で観察しながら、川口さんからお話をうかがった。回収船は世界にただ一つのオリジナルの船である。凹の字形の船体の中央に半分が海中に潜り込んだベルトコンベアが設置されている。コンベアのベルト部分はデコボコに波打った形になっており、コンベアを回転させることでベルトのデコボコに海中のアオサを引っ掛け、海上に引き上げるという仕組みだ。(図1)



引き上げたアオサを回収船に積み上げるような場所は無く、海上に出ているベルトコンベアの先端部分に小型船を横付けし、直接小型船に積み上げ、小型船によって廃棄場所まで運ばれて行く。作業はアオサの回収船1隻とアオサを運搬する小型船4隻によって行われている。

■作業の概要
作業は毎年9月の初旬から11月の末までのおよそ3ヶ月間に合計30回実施。1ヶ月のうち、作業が可能なのは大潮または中潮の日で、潮高が最低でも190cm必要なのだという。一日の作業時間は8時間、平均で一日に約100tのアオサを回収している。小型船で一度に載せることができるアオサの量は約1tであるから、一日の作業で小型船4隻が廃棄場所と回収船の間を各25往復している計算になる。川口さんは、一度の工期で回収できるアオサは、その時期に発生するアオサ全体の三分の一にも満たないのではないかと感じているとのこと。

■回収したアオサの行方
アオサ回収作業が始まったのは8年前から。その前年度に沿岸に大量に堆積したアオサの腐敗臭で、近隣住民から苦情が噴出したのがキッカケだったという。作業が発足した当時から回収したアオサは博多湾東部人工島「アイランドシティ」の埋め立て場所に「廃棄」され続けている。現在は人口島内「市の2工区」沿岸、海ノ中道大橋の橋げた付近(図2)に廃棄されている。この場所は将来的に緑地帯となる予定になっており、廃棄したアオサが腐葉土のような役割を果たすと見込まれているようだ。しかしながら人工島の埋め立てが終了してしまったあとの廃棄場所については未定である。



■これからの課題
アオサ回収のネックはその作業にかかるコストである。現在福岡市がアオサ回収作業に投入している予算は年間3000万円であるが、これはアオサの廃棄場所が回収場所のすぐ近くの人工島内であるという、博多湾のある意味特殊な条件があるからこそ成立する金額である。福岡市が現在行っているモノと同等の質の回収作業を他の市や県にある海上で行おうとすれば、さらに多額の予算が必要であろう。
加えて、アオサは食用に適さず、かろうじて肥料などに利用する程度の利用方法しかないために、回収したアオサからコストを回収するといったことがほとんどできないのが現状である。アオサの利用方法を確立させ、経営的に成り立たせなければアオサ回収作業を今後も続けて行くことは難しくなるだろう。現在、大学の研究室や企業でアオサの利用法についての研究努力が続けられている。
その例として、腐敗したアオサから発生するガスを利用して発電するガスジェネレーションシステムを備えた発電所の建設が計画として持ち上がっていることが、川口さんから紹介された。ガスジェネレーションに利用するためには回収したアオサの塩分を落とす必要があるので、その処理水を得るために奈多の下水処理場付近の建設が望まれているようだ。

■海を覗く
帰り際に和白干潟近海域を遊覧。晴天の日差しでマダラに浮かび上がった浅瀬の海底は海中を漂うアオサと海底の砂地が作りだした模様だと、川口さんが説明してくださった。
雁ノ巣の桟橋に戻り、参加者を送り出す川口さんは、地元住民に対する啓発活動を積極的に行い、少しでも多くの目を博多湾の現状に向けさせることが大切だと言われた。